ぬるま湯に浸る

2.5と呼ばれる舞台やら推しやらアニメとか。ゆるっと日常も。

かみさまがくれた本当のギフトとは、

今更すぎますが、さよならソルシエ再演を見に行ってまいりました。

 

たくさんの方がはてブでも感想や詳細なレポや考察をされていて、1つ1つ涙しながら読みました。心の中でスター5万個くらい押したい気持ち。

わたしの拙すぎる、ざっくり感想ですが、宜しければ読んで下さると嬉しいです。

 

まず、最初に1つだけ言っても良いですか?

 

これDVD化の予定ないとか嘘だろ!!!!!!!!具体的にどのようなお考えがあってDVD化の予定ないっていう結論に至ったのか公式様に納得のいく説明を頂きたいのですが一体…何故なんだWhy????再演めちゃくちゃ良くなかったですか???初演も勿論良かったけど、再演だってめちゃくちゃ良くなかったですか(2回目)????

今回、諸々事情があって、再演は行けて1回だったもので……(初演は何度か観劇出来ました)何とか体調と諸々調整して1回だけ行きました。映像収録回でした。Oh………映像配信ね!OK!!任せて!と開き直って心置き無くオペラグラス駆使しまくったよ!!!!!!ゴッホ兄弟オペラ越しに見てもやっぱり美しいんだなあ………ため息しか出ない。美しいは正義。

ソルシエは、照明的にも美しい部分も多々あるし、見る場所によって、本当に見え方が異なる(例:キャンバスだったり、表情や照明の見え方等々)ので、何度でも、色んな場所から楽しみたいし、引きで見る映像もめちゃくちゃ綺麗だろうから、やっぱりDVDという形にならないかもしれないっていうのは残念だなあ……あ、コレ引きで見たい!寧ろ2階席から見下ろしたい!!と思うシーンが何度かありました。

好きな舞台には何度でも通いたい野郎ですが、そういうことができる環境(身体も含めてね)にいられた今までって、すごく恵まれていたんだなあと実感しました。

再再演……待ってます…でも円盤くれ……せめて再演ver.のサントラを……

だって、今回はめちゃくちゃお歌が良い!!!!初演をdisる気持ちはないんだごめん!でも正直、再演のお歌めちゃくちゃよかった!!!!!!!

音響が良いっていうのもあると思うんだけど。初演がブルーシアターだったので…。初演の初日見終えた感想として真っ先に思ったのが「なんでブルーシアターなんだ(絶望)」だったので、再演がブルーシアターじゃない!ってだけでいいね!ボタン1億回くらい押したい気持ちになった。

北千住が、特別大好きな劇場っていうわけではないです。遠いし。けど、ブルーシアターでの観劇が地雷って勢いでわたしが苦手なだけ。

よくクソ劇場の代名詞みたいに呼ばれている某アイアですが、わたし的にはブルーシアターのが苦手です。少なくともわたしの尻にはアイアのがまだ優しい。くそだとは思うけど。

 

話が盛大に逸れた!

今回の再演。新曲があった!とかそういう大きな変化はありませんでしたが、なんていうのか、こう……削ったシーンもあったりしたので、こう、シーン毎の余韻みたいなものをより感じられる作品だったのかなあと個人的には思いました。

「新しい2.5次元」とずっと言ってきただけあって、元々静の作品だけど、その雰囲気にピアノ1本だけの音楽がとても綺麗だった。セリフもなく、ただピアノの音が響くシーンも、なんかもうジーンとしてしまって。

なんていうか、よりゴッホ兄弟の絆(って表現していいのかわかんないけど)というか、彼等の心情とか葛藤とか、気持ちの揺れ動きとか、そうした登場人物達にすごく感情移入出来る、おかげで、ストーリーがスムーズっていうのかな(語彙力の限界)、なんだろう!こう!!作品を見た後で、考察し甲斐のあるように作られてるなあと思いました。おかげで涙腺にばっこばっこ刺さるし、辛くて苦しかったけどな!!!!!

初演も勿論良かったし、好きなんです。基本、原作準拠で丁寧で綺麗、役者の皆さんも、丁寧に演じてくれているのがすごく伝わって。カットされて残念だったエピソードもあったけど、すっと物語に入り込めてすっと現実に戻れる感じ。喉越しすっきり爽やかすぎて、なんか感激後にあーだこーだ考察したり、思い詰めたり、ゴッホ兄弟にあがががががってなるのが許されない感じっていうのかな(語彙力)。それが良いのか悪いのかは、見た人それぞれ受け取り方が違うとは思うけど。語彙力皆無な癖に、あががががが作品が好きだし、暫くずるずる考察したりへこんだり沈んだりする作品大好きマンなので、今回、本当に意味のあった再演だったなあと心から思いました。だから円盤をですね……(何度でも言うぞ)それは勿論、演出が良い方向に変わったということもあったし、ピアノ1本だけの生演奏っていうことと、舞台はナマモノっていうことが、本当に上手くリンクしたんだなって思います。今回は見る回によって違うっていう感想をたくさん目にしたので、わたしは1回しか見ることが叶いませんでしたが、改めて、こんな素敵な作品を知るきっかけになってくれたAさん(何時ぞやのブログ参照)に感謝しています。

今回の再演で変更のあったキャストもおりましたが、1年でこんなにも人って変わるんだなあって、役者ってすげえ(小並感)って素直に思えるくらい、皆様、素敵なお芝居をされててですね。

変更のあったキャストはアレですけど、特に初演と再演での印象がガラリと変わったのは、ゴッホ兄弟。特にフィンの平野さんかな、と思います。わたしがゴッホ兄弟好きすぎるせいでの贔屓目が入ってるのは認める。

兄弟の、特に教会でのフィンの覚醒から、フィンの死、「手を」のお歌と、その辺りはやっぱり啜り泣く声も多数。客席一体で固唾を飲んでる感じがなんか好きでした。ただ、わたしは1幕の「考えろ考えろ考えろ考えろ考えろよ!!!!」のシーンからもうアカン!!!!ってなってたけど。1幕終わった段階でハンカチがべっちゃんべっちゃんだったよね。「考えろ」のシーンは、原作でも、初演でも、テオがどんな表情をしているのかがわからないように演出されてますが、初演DVDのバクステだったかな?テオの横顔というか、表情を見られる部分があるんですよね。その時の良知さん(テオ)の表情が思い出されて本当に苦しかった。しんどい。ゴッホ兄弟がしんどい。

後、今回は良知さんの台詞回しが回によって全然違う!ってお声が本当にたくさんで。良知さんは、演技をガッチリ固めて来る方っていう印象だったので、その感想たちがすごく意外に思ってましたが、自分の目で公演を見た時に、はっきりと「初演とはまるで違う」と感じました。初演の時は、最初はテオという存在があまりに綺麗すぎて(おまけにスマートでかっこいいときたもんだ)前半はテオに恋してる夢女子みたいな感じだったんですけど(笑)確かに、再演もかっこよかったし、立ち振る舞いはスマートだし美しかったんだけど!!!!冒頭、テオが通路横から歩いてくる後ろ姿を見て、原作の冒頭が蘇ってきた感覚がありました。原作のシーンとは違うけどさ。演技の細かいところまで説得力のあるテオだったなあと思います。今回、他の人に対する時と、フィンだけに向けてる態度、声色、仕草がまるで違うじゃないですか。平野さん演じるフィンの演技が柔らかい雰囲気だけど「兄」っていうのが強く感じたっていう効果もあって、今回のテオはスマートでかっこよくて固いけど、「弟」感がとてもはっきり描かれているなあと思いました。兄の絶対的な「才能」を目の当たりにして、夢を諦めた絶望、妬み、羨望、でもそれ以上に兄の「才能」を、兄の絵に「恋」をしてしまった自分との葛藤や苦悩。………良知さんはそういう演技が本当にお上手ですよね。フィンにだけ向ける弟のような柔らかい笑顔も、殺しかねんような鋭い目を向ける時も、この時、テオはこんな表情してたんだなあっていうのが伝わって、これこそ舞台の醍醐味だよなあって思って見てました。

「本当は画家になりたかった……」というテオの独白で1幕は終了しますが、原作とリンクしてるこの1幕の終わり方、すごく好きだったりします。

1幕から泣いてたせいで、幕間はぐったりしてたら終わりました。疲れた。泣き疲れて放心状態だった。

教会のシーン、大きく変わった部分はないけど、改めて見ると、兄弟2人の世界すぎじゃない???ジェローム様放ったらかしすぎじゃない??完全に2人の世界だよね??オペラでゴッホ兄弟見てると隙間から見えるジェローム様に笑った。でもすごく良いシーンで、大好きなシーンです。

フィンの画家としての才能を開花させるためのチャンスと考えて、テオは敢えて挑発的に、厳しい言葉をぶつけるけど、半分は兄を覚醒させるための誇張だけど、もう半分…例えば、「自分には何もなかった、でもフィンには絵を描くという才能があった」ということ。そんな現実を思い知った時の絶望とか、随所に彼の本心が隠れていて、だからこそ見ていて本当に苦しい。テオは不器用な優しさを持っている人だと思う。でも、本当に優しい人。テオ故郷の空のことを「大嫌いだったよ」と告げるテオの横顔にゾクゾクした。美しいが殴りかかってくる感じ。フィンが自身を銃で打ってしまった後の、あの、そんなつもりじゃなかったっていう悲しそうなお顔。悲しそうだけど、泣きそうになるくらい歪んでるけど涙は流さないっていう、この絶妙なバランスの表情の良知さんがとても好きなんですけど伝わるかな(伝わらないね、語彙力がない)。教会のシーンは本当に好きだけど、その後の2人がどういう運命を辿るか、物語の結末がわかってるから切なすぎた。絶望。

フィンの亡骸と対面した時の、「髪…切ったのか…」の言い方が回によって違うってレポをたくさん見たのだけれど、わたしは1回しか入れなかったし、入った回が配信回なので、真実を自分の目で確認出来ないのが残念すぎる。その辺どうだったんですかね…。亡骸とはいっても、久しぶりにフィンに会えた喜びみたいなのはあったのかな、「髪…切ったのか…」って少し嬉しそうに微笑むのが堪らなかった。その後でわっと泣き出すから余計にもうやめてくれよォって思ってた。わたしも泣いた。客席も泣いてた。話逸れるけど、あのベッドで眠る平野さんの顔がお綺麗すぎたのも良くないと思うんだよね。

画廊に戻って、兄さんを殺したのは自分だと自身を責めるテオ。どんがらがっしゃーん(言い方が酷い)シーンからの、蹲った時のフィンの手紙を握りしめた手がぶるぶる震えてるのがまじで辛い。三角座りで優しく手紙を開くのが、子どもみたいで好きだった。テオは、完全にフィンの弟で、子どもみたいで。また、平野さんのフィンがさー!!!!!!手紙と「手を」は初演も再演も全然フィンとしてのアプローチが違うなって感じたけど、わたしはどっちも好き。どっちも好きだからこそどっちも形として見たいんだよ!!だから円盤下さい(3回目)!!!!!!

初演は、酒場にいるフィンが手紙を書いている回想という印象が強いんです。でも、再演では、フィンの存在は、もうこの世にはいないけれど、でも、確かに、あの時あの画廊には兄であるフィンがいて、泣きじゃくるテオに語りかけてる、みたいな。わたしのクソすぎる語彙力ではこれが限界だよ…でもどっちもめちゃくちゃ好きで、再演は泣きすぎてしんどくて、もう放心状態で椅子にもたれ掛かってる屍みたいになってた。神様がフィンに与えた本当の贈り物(ギフト)というものは「君だったんじゃないかなあ…」の一言がもう刺さる刺さる!!!!

再演モノって今やそんなに珍しくないじゃないですか。その中で、やっぱり初演が良かったとか、再演の方が…とかっていう好き嫌い問題は起こるものだと思うんですよ。作品自体に対しても、それを演じる役者に対しても。初演の演技も勿論素晴らしかったけど、それとはまた違うアプローチで、それに説得力を持たせることの出来る役者って、なかなかいないのではないかなって思います。何が言いたいかって、すげえよ平野良はってことなんですけど。

初演のフィンは、本当にふわふわとしてて、教会でジェローム様が言ってたように、「全てに無知」って言葉がいい意味でぴったりくる感じっていうのかな…上手く言えないんですけど!けど、再演では、確かにふわふわしてるんだけど、そこはかとなく感じられる「天才」感みたいなものがあった気がします。コイツこんなんだけどただもんじゃねえ雰囲気バリバリのお兄ちゃん。平野良はすごい。

ボドリアールたちに暴行された時に、テオは自分1人が居なくなろうとも、彼等は絵を描くことをやめない。それは、絵を描く以外に出来ることがないからではなく、「絵を描くことしか、生きる意味がないからだ」とはっきりと告げます。

そして、イーサン画廊の開館式で、浮浪者たちに対する、「ただ毎日を精一杯生き抜いて死んでいく人生を、連中は立派な人生だと思っている」という台詞。テオはこの時、少し悔しそうな、苦しそうな表情と声色なんですが、再演で見た時に、やっと、そこがストンと自分に落ちた気がしました。これって、まんま兄であるフィンの人生なんですよね。そして、モンマントルの仲間たちの生き方でもある。だから、テオはそんな生き方を否定出来なくて、苦しいのだなあと。

良知さんの演技は、一見しただけでは解釈が難しい部分があったりするのですが、何度か見ていく中で、自分で考察していく中で、いつしかストンって落ちた時に、すごく説得力のあるお芝居をする方だという目でいつも拝見してます。なので、良知さんのお芝居を見るのがとても好きなんですけど。

プサントに対して、「毒みたいな飲み物」と言って、テオは頑なに口にしようとはしないんですけど、作品の中で1箇所だけ。「兄は自殺した、ということにする」と決めたあのシーンで、その毒を一気に煽るんですよね。あれは、後に、自分は兄の後を追うように死ぬべきだった…と言ってたことから、テオドルスという人間はあの場面で死んだ、ということなのか。フィンセントの弟としてのテオドルスという存在は死んだ、フィンセント・ファン・ゴッホという画家の絵の素晴らしさを後世に伝えるソルシエとして生まれ変わったのか。いろんな考察があって、どれもがおおお!と感銘を受けるものばっかりで、わたしの中ではまだ答えを出しかねてます。でも、受取り方は観客それぞれで、どれが正解っていうのはないとは思うけど、どういう意図でのアプローチなんだろうといつかお聞きしたいものです。

もう1人のゴッホの存在を、人々は誰も知らず、兄の後を追って自分は死ぬべきだったときっぱりと告げ、消えたテオの生き方。「兄さんは、俺の人生のすべてだった…」と泣き崩れたように、テオにとっての神様からの贈り物は、兄であるフィンだったんだなあと哀しくはあるけれど、決して悲劇ではない最高の結末に、心から納得しつつ、静かに涙を流しておりました。

 

話が行ったり来たりで、長いだけのまったく優しくない感想になってしまった……。

素晴らしい感想は、漁ればわんさか出てきますので、そちらをご覧頂きつつ、興味を持たれた方は、GyaO!にて配信中でございますので、そちらを是非。結局、みんな配信買ってくれ!って言いたかっただけ。そして目指そう円盤化!!!!!!!!!